《 夏のおでかけ企画・山手111番館の午後。 》


《 大神一郎の
    独白。 》

久しぶりに
休みが取れたので、
今日はレニを
連れて、
横濱のある洋館に
遊びに来ている。

今、
二人で住んでいる所は
純和風なのだが、
やっぱりレニは
洋風な家の方が
好きなようだ。

・・・巴里から帰ってきて
俺はすぐにレニと
一緒になった。

が、その頃から
レニの霊力は落ち始め、
今では
光武やアイゼンクライトは
おろか、
テスト用の模擬霊子甲冑でさえ
動かす事は
できなくなった。

・・・俺がレニの「巫女」
としての能力を
「奪ってしまった」
らしいのだ。

その為、現在は
(米田長官やかえでさんの
好意もあり)
帝国歌劇団の
演技指導・補助として
勤務、
「華撃団員」としての
勤務はしていない。

・・・霊力を失った事が
レニにとって
良いことだったのか、
悪いことだったのか・・・。

レニはこの事については
何も言わない。

俺は
レニの「可能性」を
閉ざしてしまったのでは
ないだろうか。
レニを壊してしまったのでは
ないだろうか。

でも、
俺には
「そうする事」以外、
考えられなかった。


「・・・隊長、
あっちの部屋に行って
みよう」

「えッ、あ、ああ」


・・・レニはどう思っているのだろう・・・。
俺と一緒になった事を後悔してはいまいか?

霊子甲冑を動かせなくなったと知った時のレニの表情は、
それは複雑なものだった。
その表情が脳裏にちらつき、俺は、レニに尋ねられないままでいる。


「・・・外の庭も綺麗だよ。隊長、外に行ってみよう。」
「・・・うん。」

「今日は割と
曇ってるから、
死にそうなほど暑くなくて
良かったね。」

「ああ、ちょっと
一息つけられて良い感じだ。」

庭のバラ園や、
噴水を回っている間に
日も傾いてきた。

「・・・そろそろ
帰ろうか。」
「うん。」

俺とレニは、駅までの坂をゆっくりと下っていった。
手をつなぎながら。


・・・レニの手の温度や、儚いまでの華奢さを感じながら、

「俺がこの子をしっかり護ってやろう、どんな事が起ころうとも。」

と、心に誓った。

それがレニに対して俺ができる、唯一の事だと思った。


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