《 冬の海辺。 》


士官学校時代の友人が、若くして亡くなった。
葬儀には所用で出られなかったので、せめてお焼香にと小田原へ赴く。
その帰り道、そばの海岸で、レニとふたり。


冬の海は、俺たちの心情とは裏腹に、
思ったよりも青く、
美しく輝いていた。

・・・人が亡くなる、っていやだね。
うん。

・・・隊長は、そんなことないよね。

俺は黙っていた。
レニは堰を切った様に喋り出す。


隊長とお祭りに行った時に
すくった金魚も、
殆ど死んじゃった。
犬の寿命は約10年、っていうから、
フントもいずれ死んじゃうんだ。

マリアも、
織姫も、
アイリスも・・・・・・
みんなみんなみんな・・・
死んじゃうんだよ?



僕、隊長が死んだら・・・・・・
生きてゆけないと思う。

僕の好きな人たちが死んでしまう位なら、
かわりに僕が死んだほうがいい。
僕の大事な人たちが居なくなってまで
生きるのは耐えられない。

僕はもう、
ひとりぼっちにはなりたくない。



日頃冷静なレニだが、
人との「別れ」(生別・死別問わず)に関しては
心の「ゆれ」が大きくなる様だ。
過敏なまでに反応する。
(これは、俺が巴里赴任の為にレニの元を離れた事が
トラウマになっている感があるが。)


僕は、
生きている事が怖い。
今、こうして
隊長と過ごしていても、
次の瞬間にはどうなっているか
判らないもの・・・。

僕は、
僕は・・・こわいんだ。


レニの声が、
肩が、
震えている。



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